弁 護 士 業 務

新しい委員会

2021年12月31日

(公社)東京都医師会が「高齢社会における運転技能及び運転環境検討委員会」を立ち上げました。 近時、認知症の高齢者による事故がクローズアップされていますが、認知症に限らず、高齢者の運転技能や道路施設等の運転環境,そして免許返納した高齢者のその後の変化等様々な問題があるので、それを検討しようというのが設立の趣旨です。私は、交通事故に関わる法律家として、委員に委嘱され,10月17日、第1回委員会が開催されました。メンバーは、内科医、精神科医、眼科医、リハビリ科医、作業療法士、自動車関連の活動をしている方等です。これから、2年間,月1回のペースで検討を重ねます。通常の弁護士業務とは異なり、交通事故の発生防止を主眼とするこの委員会に参加できることは貴重な機会であり、微力を尽くしたいと思います。

第3は期日の出頭が不要又は大幅に減ることです。裁判の期日の中でも法廷で行う口頭弁論には、必ず出頭しなければなりません。遠隔地の裁判所に裁判を起されれば、5分で終わるときでも、飛行機に乗り、場合によっては前泊する必要があります。もっとも、現在でも非公開で行う弁論準備手続では,原被告のどちらかが裁判所へ出頭すれば,裁判所の電話会議システムを使って,出頭しない当事者との間で行うことはできます。。しかし,電話会議は,相手の顔が見えず,やりにくいものです。これらがWeb会議で行えるようになります。このようにメリットがあるIT化ですが、海外を見れば、アメリカでは約20年前に始まり、韓国でも、10年前に実現しています。日本だけが取り残されているということで、今回の動きとなりました。

第2の利点は提出が瞬時に済むことです。現在は,それらの書面を提出するには、裁判所へ持って行くか郵送しなければなりません。この点は、準備書面等はファックスでも良いとされています。ただ,ファックスの書面は鮮明ではないため、できれば使いたくありません。それでも,殆ど裁判所とのやり取りのために、他の業界では、既に死物化したファックスも弁護士業界では必需品のままです。裁判所以外では,毎日,無用な広告ばかり来てウンザリしています。IT化されれば,電子化された書面をワンクリックで提出できますし,フックスも無用になるかも知れません。

政府は、民事裁判のIT化を図るため、民事訴訟法の2年後の改正を目指すことを3月10日閣議決定しました。IT化には利用者にとって3つの利点があります。第1はペーパーレス化です。現在、書面をやり取りしなければ、裁判はできません。原告も被告も訴状,答弁書,準備書面などの書面を裁判所用に1通、被告用に人数分、弁護士自身の控えに1通、依頼者用に1通,つまり、事実上同じ書面を最低4通作っています。また、証拠もそのコピーを最低4通作ることになります。複雑な事件では、準備書面を双方が何回も出し、沢山の証拠も必要です。その紙の量は、凄いことになります。時々、「ウチは印刷所か!」と思うことがありますし、法廷で、廷吏さんがリヤカーのようなもので、事件記録を用意するのを目にすることもあります。